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昨年見た映画の感想です。クリストファー・ノーラン監督の戦争大作『ダンケルク』。
クリストファー・ノーランは『バットマン』シリーズや『インセプション』のような娯楽大作を手掛けながら、どうもヌケが悪いというか、丁寧な描写が上映時間を長くするばかりで面白さには繋がっていないという印象であった。きっと真面目な人なんだろうと思うが。本作はテーマも映画の規模も非常に的の絞られた作品に仕上がっていて、演出も抑制が効いていて、実に好感の持てる映画であった。戦争映画にありがちな底抜け大作感がないのが良い。英軍の大規模な撤退作戦を描くお話で、ほとんど顔も名前もわからぬ若手俳優たちがドイツ軍の急襲に怯えながら右往左往する様子が緊張感たっぷりに描かれる。臨場感溢れる映像と音響は劇場での鑑賞が相応しい。空、海、陸の3つの視点から描き分けるシンプルだが効果的な話術には確かな作家の手つきが感じられる。救出作戦に加わった漁船の老船長の毅然とした態度がとても良かった。
(『ダンケルク』 DUNKIRK 監督・脚本/クリストファー・ノーラン 撮影/ホイテ・ヴァン・ホイテマ 音楽/ハンス・ジマー 出演/フィオン・ホワイトヘッド、トム・グリン=カーニー、ジャック・ロウデン、ハリー・スタイルズ、ジェームズ・ダーシー、ケネス・ブラナー、キリアン・マーフィ、マーク・ライランス、トム・ハーディ 2017年 106分 イギリス/アメリカ/フランス)
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