- 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
- 発売日: 2008/02/13
- メディア: DVD
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『ノイズ』 MASTERS OF HORROR: SOUNDS LIKE
監督・脚本/ブラッド・アンダーソン
撮影/アッティラ・スザレイ
音楽/アントン・サンコー
出演/クリス・バウアー、ローラ・マーゴリス
(2006年・60分・アメリカ)
ジョン・カーペンター、ダリオ・アルジェントら有名なホラー監督が腕を競う「マスターズ・オブ・ホラー」の第二シリーズ「13 thirteen マスターズ・オブ・ホラー2」の一編『ノイズ』。監督は『Session9』『マシニスト』等、個人的に注目しているブラッド・アンダーソン。近作『リセット』の予習として鑑賞。
主人公はソフトウェア会社のサポートセンターで働くラリー(クリス・バウアー)。顧客の問い合わせに答える電話を傍受し、まずい対応をする部下を厳しくチェックする。有能な管理職として君臨していたが、息子を病気で亡くしてから次第に変調を来たし、「音」に対し異常なほど過敏に反応するようになってしまった・・・。
主人公の仕事ぶりとストレスの丁寧な描写は『Session9』や『マシニスト』でも描かれていた通りアンダーソン監督の得意分野。過敏な聴力が高じて、隣室で妻が編み物をする音やハエが手足をこする音までが聞こえてしまうという描写は面白い。いかんせん、お話にもうひとひねりが足りないので、悲劇的なラストが予想通りの結末に見えてしまうのが残念だった。同じ日に見た『MAD探偵』に偶然『ノイズ』と同じシークエンスが出て来たので驚いたが、ジョニー・トー&ワイ・カーファイの軽やかな手つきに比べると、アンダーソンはいかにも気真面目すぎるという印象だ。
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『リセット』 VANISHING ON 7TH STREET
監督/ブラッド・アンダーソン
脚本/アンソニー・ジャスウィンスキー
撮影/ユタ・ブリースウィッツ
音楽/ルーカス・ヴィダール
出演/ヘイデン・クリステンセン、タンディ・ニュートン、ジョン・レグイザモ、ジェイコブ・ラティモア
(2010年・91分・アメリカ)
続いてはアンダーソン監督の近作『リセット』(2010年)。
大停電とともに人々が忽然と姿を消し、世界が次第に闇に覆われていった。非常用発電機で明かりが点る酒場に逃げ込んだルーク(ヘイデン・クリステンセン)、ポール(ジョン・レグイザモ)、ローズマリー(タンディ・ニュートン)、ジェームス(ジェイコブ・ラティモア)の4人は、闇に蠢く何者かと闘いながら脱出を試みるが・・・。
『Session9』『マシニスト』『ノイズ』はホラー的要素はあれど、どちらかと言えばサイコ・サスペンス寄りの作りであった。本作『リセット』は思い切ってホラーに振り切った印象。廊下の明かりが消えて次第に闇に閉ざされていくという恐怖演出(『Session9』でもやってたっけ)などなかなか鮮やかだ。人間が衣類だけを残して消えている描写はトム・エバーハート監督『ナイト・オブ・ザ・コメット』、映画全体の雰囲気は黒沢清監督『回路』に酷似しており、闇に蠢く影が襲い来る様子は同じく黒沢監督の『スウィートホーム』に似ている。アンダーソン監督がJホラーを見ているかどうかわからないが、このソックリぶりは興味深い。
出演はヘイデン・クリステンセン、タンディ・ニュートン、ジョン・レグイザモ、ジェイコブ・ラティモアのほとんど4人のみ。ジョン・レグザイモといえば、どうしても『カリートの道』等のチンピラめいたイメージが強い。本作ではシネコンの映写技師役で、『シェルブールの雨傘』のカトリーヌ・ドヌーブに言及したりするのが何とも不似合いでおかしかった。
さておき、アイデア勝負の低予算ホラーの好例として記憶に値する1本だと思う。件の震災後には停電で数日間暗闇の恐怖を味わったので、別な意味でリアリティを感じたなあ。