Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『ラグタイム』O.S.T.(ランディ・ニューマン)

Ragtime

Ragtime


 ミロシュ・フォアマン監督ラグタイム(1981年)のオリジナル・サウンドトラックがCD化された。残念ながら映画は未見だけれども、ずっと聴きたかった一枚である。音楽はランディ・ニューマン。本作はニューマンの映画音楽作家として最初期(1作目は『Cold Turkey』1971年、日本未公開)の仕事であり、アカデミー賞作曲賞・主題歌賞にノミネートされた。


 古き良き時代のアメリカへの郷愁を、温かいメロディーとゴージャスなアレンジで聴かせる本盤は、すでにランディ・ニューマンの個性がフルに発揮されている。陽気なのにちょっぴりもの哀しい、何ともいえないメロディをオールドファッションなジャズのリズムで演奏するピアノ(ラグタイム)を随所に織り込みながら、ゴージャズなオーケストラ演奏は勿論、ジャズ・ギター(M-6)、オルゴールの調べ(M-5)や、ワルツやポルカ等ダンスミュージック、霊歌(M-17)等々バラエティに富んだ楽曲が楽しめる。


 ランディ自身のヴォーカル曲も1曲(M-12「Change your way」)収録されている。のん気なピアノの弾き語りで、歌詞は子供に対する親父の説教(笑)。この曲だけいつものランディ節なのがおかしい。映画本編ではオープニングにスキャットマン・クローザーズ(『シャイニング』の黒人俳優だ)が歌う予定だったが、結局撮影されなかったのだとか。


 CDには詳細なライナーが付いているのも嬉しい。テーマが「アメリカ」の群像劇ということで最初はロバート・アルトマンが監督する予定だったとか、ランディは映画音楽の名門(アルフレッド、ライオネル、エミールらの巨匠を輩出したニューマン一族)である事を強く意識して映画音楽に関わるのをずっと避けていたとか、興味深い記事がたくさん掲載されている。


 映画『ラグタイム』は、今世紀初頭のアメリカを舞台に、様々な人種の人々が織りなす人生模様を描くドラマ。製作はディノ・デ・ラウレンティス、監督は『カッコーの巣の上で』『アマデウス』のミロシュ・フォアマン。出演はエリザベス・マクガヴアン、ジェームズ・オルスン、ブラッド・ダリフ、メアリー・スティーンバージェンジェームズ・キャグニーなど。映画もいつか見てみたいなあ。この素晴らしい音楽がどのように使われているのか楽しみだ。