Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『テレフォン』(ドン・シーゲル)

『テレフォン』 TELEFON


 監督/ドン・シーゲル
 脚本/ピーター・ハイアムズ、スタールング・シリファント
 撮影/マイケル・バトラー
 音楽/ラロ・シフリン
 出演/チャールズ・ブロンソンリー・レミックドナルド・プレザンス、タイン・デイリー
  (1977年・103分・アメリカ)
 

 TSUTAYAの「名作発掘」コーナーに、ドン・シーゲルチャールズ・ブロンソン『テレフォン』が! 昔TVの吹替洋画劇場で何度も見たことがあるけれど、懐かしくてつい借りてしまった。


 冷戦時代のソ連で秘密裏に実行された「テレフォン作戦」。催眠暗示を掛けたKGB工作員アメリカに送り込み、米軍の軍事施設に爆破工作を仕掛けさせるというものであった。米ソの歩み寄りに反旗を翻した急進派のダルチムスキー(ドナルド・プレザンス)は単独渡米し、勝手に「テレフォン作戦」を発動させた。KGB本部はダルチムスキーの暴走を阻止するべく、ボルゾフ(チャールズ・ブロンソン)をアメリカに送り込むが・・・。


 「森は美しく、暗く、深い・・・」とロバート・フロストの詩の一節を電話で囁きかけると催眠暗示が発動するという設定が面白い。タコみたいな特徴的なルックスのドナルド・プレザンスが公衆電話を掛けている映像はハッキリ覚えていた。「テレフォン作戦」を阻止するべく奮戦するKGBの情報部員を演じるのは我らがブロンソン。ポーカーフェイスで動じないという役作りは毎度のブロンソンだけれど、今回は知的な役柄なのが新鮮。絶対的な記憶力を持つと言う設定で、暗号帳を丸暗記したりするのだ。アメリカ国内でKGBKGBの闘いが展開するという辺りにもちょっぴり捻った面白さがある。


 共演は、CIAの情報部員役でリー・レミックリー・レミックって本作と『オーメン』しか見た事が無いなあ。CIAのコンピューター技師役で『ダーティハリー3』のタイン・デイリー。脇役だけれど生き生きしていて印象に残った。KGBの上官役は『時計じかけのオレンジ』でアレックスにボコボコにされてたパトリック・マギー。


 脚本はピーター・ハイアムズ(『カプリコン1』『破壊!』の監督ハイアムズだ)とスターリング・シリファント(『タワーリング・インフェルノ』『キラー・エリート』)。監督は『ダーティハリー』『突破口!』等アクション映画の名匠ドン・シーゲル。タイトなB級映画で鳴らしたシーゲルにしては爆発に次ぐ爆発の派手な演出が展開するので驚かされる。今回、基本はサスペンスものなのでアクション場面は少ないけれど、地下駐車場での銃撃場面などさすがの切れ味を見せてくれる。まあ、シーゲルにしては随分ユルい部分もあって、傑作と呼ぶにはほど遠いかなあ。面白かったけど。ブロンソンとレミックがモーテルを目指すのん気なラストには脱力・・・。