Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

「頭に何かいるからそこを撃て」とか「女川」とか、その他

月末進行その他で気持ちが下降気味の今日この頃。最近思っている事などいくつか。 


その1。


 ゾンビものTVムービー『ウォーキング・デッド』The Walking Dead ファースト・シーズン(2010年)の第1話、第2話見る。さすがはフランク・ダラボンが参加しているだけあって、実に「映画っぽい」作り。でも、予想していたよりずっと地味だった。携帯電話やパソコンが出てこないせいか、ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』Dawn Of The Deadのサイド・ストーリーみたいな印象を受けた。「ゾンビ」(劇中では「ウォーカー」と呼ばれる)という存在についての説明はほとんど最小限に留められ、淡々と進行していく。ロメロ『ゾンビ』から33年。数多たるフォロワー、パロディ、ゲーム、コミック、小説などで繰り返し扱われる内に、「ゾンビ」についての約束事が一般的に認知されたのだなあと感慨深いものがあった。これからどう展開するのか楽しみ。まあハッピーエンドにはなるまいが・・・。


その2。


 毒々しい映像美で一世を風靡した英国の映画監督ケン・ラッセルが亡くなった(27日)。享年84歳。もしかして遺作は『デス・ルーム』の挿話(吸血おっぱいの話)かなあ。出会いは『Tommy』『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』だった。熱狂的なファンという訳では無いけれど、個性的な作家が亡くなったのはやはり寂しい。『バレンチノ』『ボーイフレンド』『肉体の悪魔』『恋する女たち』等70年代の代表作の早期ソフト化を希望。追悼ケン・ラッセル


その3。


 ムーンライダーズ情報。12/14には待望の新譜(そしてラスト・アルバム)『Ciao!』がリリースされる。同日には慶一氏のデモ・トラック集『THE LOST SUZUKI TAPES Vol.2』、例のヴォーカロイドによるカヴァー・アルバムもリリースされる。今年5月に行なわれた『火の玉ボーイ』再現コンサートも来年には出るようだ。活動35年の中で、まだまだお宝は山のように眠っているだろう。アーカイヴ・シリーズの続きも期待したい。


その4。


 震災後しばらくは、何をしていても震災を思い出す状態が続いていた。誰かとお喋りしていても、仕事をしていても、映画を見ていても、読書をしていても、ふとした拍子に震災のことを思い出す。最近はその傾向が薄れてきたけれど、別に忘れた訳ではなくて(忘れられるものか)、すっかり日常化してしまったという感じ。先日仕事で石巻の海沿いに出掛けて、荒涼たる景色を見て改めて完全復興は遠いなあと思った。


 カーネーションの新しいミニ・アルバム『UTOPIA』を聴いた。UTOPIA、ってあの・・・と思ったら表題作はホントにそれっぽいアレンジのポップソング。いいなあこれ、フル・アルバムが楽しみだなあ、と思って聴き進むと、2曲目のタイトルは「Electric Company」。5曲目は「女川」・・・。女川って、そう、原発のあるあの女川(おながわ)。サックスがむせび泣くインスト曲。吹きすさぶ嵐に耐えながら荒野に立ちつくしているようなその曲を聴きながら、ちょっと泣いた。


 早いもので、今年もあと1ヶ月を残すのみとなった。2011年は、良い事も悪い事も盛り沢山な1年であった。残り1ヶ月こそは、心穏やかに過ごせますように。


ユートピア

ユートピア