Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『ジョージ・A・ロメロ 偉大なるゾンビ映画の創造者』(洋泉社)


 昨年惜しくも亡くなった映画監督ジョージ・A・ロメロの追悼本『ジョージ・A・ロメロ 偉大なるゾンビ映画の創造者』(洋泉社)読了。本書は対談形式で、山崎圭司伊東美和両氏がロメロの生い立ちに沿ってその作品と監督自身の魅力について語り合う。片や『イタリアン・ホラーの密かな愉しみ』(山崎氏)、片や『ゾンビ映画大辞典』(伊東氏)と、ホラージャンルに深い洞察と愛情を寄せた名著で知られる2人だけに、語り部として正に適任。ロメロ映画の独自性と、その影響力ついて縦横に語り尽くしている。対談の合間には篠崎誠、井口昇、ノーマン・イングランドらの熱い追悼エッセイが掲載されていて、これもいい。

 
 ロメロ作品については、故郷のホラー・マスター(封切当時『ゾンビ』を劇場で見て多大な影響を受けた2人の友人)の導きで知る事となった。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『クレイジーズ』『マーティン』がソフト化された時には、マスター・ロジャー氏のお宅で拝見して衝撃を受けた。以降、主要な作品は見ているはず。と思ってたら、本書を読んで、そうだ『ナイトライダーズ』見てないじゃん、と。篠崎誠氏が熱く推す一方、対談では「退屈」と貶されてるのが『ナイトライダーズ』。本書を読むと、どうも『ナイトライダーズ』こそロメロ監督の最重要作品のような気がしてならないので、いつか必ずチェックしたい。


 本書を読んで気になったのが、ロメロが2メートルを超える長身だという記載だった。ロメロといえば、あのフレームの太いメガネと優しげな笑顔が思い浮かぶ。作風からもマッチョな印象は皆無なんで、これは意外だった。で、『ランド・オブ・ザ・デッド』のメイキング映像で確かめたら、確かに!エドガー・ライトサイモン・ペッグと並んだ絵面なんて思わず「でかっ!」と言いたくなったくらい背が高かった。映画の評価とは何の関係もない話ですが。


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ナイトライダーズ

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ゾンビ映画大事典 (映画秘宝COLLECTION)

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イタリアン・ホラーの密かな愉しみ―血ぬられたハッタリの美学

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