Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『Best of MOONRIDERS 1982-1992 Keiichi Suzuki sings MOONRIDERS』(ムーンライダーズ)

Best of MOONRIDERS 1982→1992 Keiichi Suzuki sings MOONRIDERS

Best of MOONRIDERS 1982→1992 Keiichi Suzuki sings MOONRIDERS



 ムーンライダーズのアルバムを振り返るコーナー、1994年に東芝EMIからリリースされたベスト・アルバム『Best of MOONRIDERS 1982-1992 Keiichi Suzuki sings MOONRIDERS。1982〜1992年の10年間から、レコード会社の垣根を越えて選曲された全12曲が収録されている。


 収録曲は、


 M-1.「涙は悲しさだけで,出来てるんじゃない」(作詞/鈴木慶一 作曲/岡田徹
 M-2.「駅は今、朝の中」(作詞・作曲/鈴木博文
 M-3.「D/P」(作詞/かしぶち哲郎 作曲/白井良明鈴木博文
 M-4.「ガラスの虹」(作詞/鈴木博文 作曲/白井良明
 M-5.「さよならを手に」(作詞/鈴木慶一 作曲/岡田徹
 M-6.「Who's gonna die first?」(作詞/鈴木博文 作曲/白井良明
 M-7.「スカーレットの誓い」(作詞・作曲/かしぶち哲郎
 M-8.「ダイナマイトとクールガイ(シングル・ミックス)」(作詞/鈴木慶一 作曲/岡田徹
 M-9.「9月の海はクラゲの海」(作詞/佐伯健三 作曲/岡田徹
 M-10.「くれない埠頭」(作詞・作曲/鈴木博文
 M-11.「幸せの洪水の前で」(作詞/鈴木慶一 作曲/白井良明
 M-12.「YER BLUES」(作詞・作曲/John Lennon & Paul McCartney


 クレジットを見ての通り、慶一氏の曲が入っていないので、Keiichi Suzuki sings MOONRIDERS。ジャケットアートも美しく(先日書いた通りこのアルバムは現在手元に無いので、ジャケットを掲載出来ないのが残念)、ライナーは慶一氏自身、イラストは消しゴム版画のナンシー関さん(彼女のライダーズのファンなのであった)、選曲はほぼ完璧。ライダーズにしてはキャッチーな名曲揃いで、何故これが売れないのかと思うと同時にやっぱり売れないだろうなーとも思う。彼らの曲には良い意味でも悪い意味でも流行歌に必要な下世話さというか、「媚び」みたいなものが感じられないのだ。東芝EMI時代の曲ならば、M-8「ダイナマイトとクールガイ」なんかは是非シングル・ヒットして欲しかったなあ。


 本アルバムの目玉は、M-12「YER BLUES」。東芝EMIから出たビートルズのカヴァー・アルバムに収録されていた曲で、ライダーズのCDには初収録。オリジナルは重たい曲だったと思うけれど、ライダーズ・バージョンはがらりと変わって陽気な楽隊風のアレンジだ。年季の入ったビートルズ・マニアとしての余裕を見せつける素晴らしいバージョンだと思う。これ大好き。