Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『THE BEATNIKS Live 2018 "ビートニクスがやってくる!シェ!シェ!シェ!”』(THE BEATNIKS)


 5/11(金)に行われたTHE BEATNIKS高橋幸宏鈴木慶一)のライブに行ってきました。仕事きっちり定時で切り上げて六本木(←東京で働いててもめったに行かない場所No.1)へ。ライブからはすっかり足が遠のいていて、2016年の暮れに行われた「LIVE AFTER SCHOOL HANGOUT」以来、約1年半ぶり。THE BEATNIKSを生で聴くのは2001年のSHIBUYA-AX以来実に17年ぶり。(2011年の中野サンプラザは行けなかった)


 当日はまだニューアルバム『EXITENTIALIST A XIE XIE』を聴いていない状態。会場であるEX THEATER ROPPONGIに到着すると、電光掲示板に幸宏&慶一両氏の神々しいお顔と「ビートニクスがやってくる!シェ!シェ!シェ!」の文字が。そんなに愉しげなアルバムなのか?



 強風が吹きすさぶ中、開場を待つ大勢のファンたち。(自分も含めて)年齢層高し。


 バンドメンバーのシルエットがスクリーンに投影され(BGMはどうしたってリンチを連想させる不穏なインストナンバー)、1人ずつステージに登場。メンバーはゴンドウトモヒコ(Euph, Tp, Glo)、砂原良徳(Key)、矢口博康(Sax, Cl)、白根賢一(Dr)、高桑圭(B, G)、堀江博久(Key)、永井聖一(G)。彼らの演奏も大きな見所聴き所で、個人的には何と言っても矢口さんのサックスを生で聴けたのが嬉しかったなあ。


 ライブはニューアルバム収録の「鼻持ちならないブルーのスカーフ、グレーの腕章」からスタート。言葉の選び方が実に慶一さんらしい曲だなと思った。続いては初期の「River In The Ocean」。イントロでそれとわかる名曲なので、フロアは大盛り上がり。


 続いて2人はアコースティックギターに持ち替え、「カップルの曲」だとMCした後、『LAST TRAIN TO EXITOWN』収録の「Go and Go」を。ユーモラスかつ繊細ないい曲ですよ、これ。MCの通り、確かに男2人でデュエットすると何とも味わい深いテイストを醸しだす。


 今回のライブは、これまでのアルバムから満遍なく曲がチョイスされているのが嬉しかった。ここからは新旧織り交ぜた名曲・名演奏が続く。『出口主義』からの「Now And Then」「No Way Out」、『EXITENTIALIST A GO GO』からの「COMMON MAN」「ちょっとツラインダ」、ニューアルバム未聴で臨んだにも関わらず、新曲も(THE BEATNIKSにしては)とっつきやすい曲ばかりという印象で、「Softly-Softly」(NHK-BSの音楽番組「J-MELO」のテーマ曲)、「ほどよい大きさの漁師の島」(どことなくムーンライダーズっぽい気がする)など、楽しく聴くことが出来た。ファーストアルバム『出口主義』に収録されたインダストリアルな暗めの曲は(自分も含め)皆さん聴きこんでいるようで、イントロで客席がわっと盛り上がる。アルバムよりも分厚くさらに攻撃的な演奏になっていて聴き応えがあった。そして!個人的にはこのコンビの最高傑作かもと思っている「Left Bank」が。MCで慶一さんは「当時の幸宏について書いた」、幸宏さんは「あれは慶一が自分のことを書いたんだよね」とお互いにMCで牽制しあってるのがおかしかった。このブログでも以前何度も言及したけれど、幸宏さんも言ってたようにこの歌詞は本当に凄いと思う。


 ニール・ヤングのカバー「I've Been Waiting For You」を挟み、幸宏さんがドラムセットに移動。ツインドラムで「Ark Diamant」「Dohro Niwa」のへヴィーな2連発。幸宏さんの生ドラムに感動。慶一さんから「キース・ムーンみないな」と言われていた白根氏の手数の多いドラムと相まって大迫力だった。また、ギターの永井氏(相対性理論)がバリバリ弾きまくってるのを見る慶一さんが、まるで我が子の成長を見る父親のように嬉しそうな表情をしていたのが印象的だった。


 本編のラストナンバーはニューアルバム収録の「シェー・シェー・シェー・DA・DA・DA・Yeah・Yeah・Yeah・Ya・Ya・Ya」。このコンビにして、こんな抜けの良いポップなナンバーが来るとは!しかも慶一さんが客席に振り付け(曲名のごとくのイヤミの「シェー・シェー・シェー」ですよ)をして、盛り上げるという。THE BEATNIKSでこれ、というのもの珍しさもあって面白かったなあ。


 アンコールは、ニューアルバム収録の「Unfinished Love ~Full of Scratches~」の後、オーラスは「TOTAL RECALL」。『EXITENTIALIST A GO GO』の冒頭を飾る名曲だ。この曲を巡る爆笑のエピソードはファンならお馴染みのもので、本人らも「言い飽きた」「聞き飽きた」と言いながらやっぱり今回も話してました。THE BEATNIKSのお二人は曲も演奏も格好良いし、ビジュアルだってダンディで素敵なんだけど、話し始めると人の良いおじさん丸出しになってしまうのが何ともおかしい。で、その超のつく名曲「TOTAL RECALL」、生で聴けて大感動ですよ。メンバーがステージを去り、後方のスクリーンに「THANK YOU」「GOOD NIGHT」の文字が映し出され、ライブは終了。


 仕事明けスタンディング席で2時間超。心地良い疲れと、ライブの余韻を胸に帰途に着いた。8月には東京と大阪で公演、夏フェスにも出るというから精力的だ。THE BEATNIKSはこれからもずっと続けて欲しいなあと思う。