Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『THE BEATNIKS Live 2011“LET’S GO TO BEATOWN”』

LAST TRAIN TO EXITOWN

LAST TRAIN TO EXITOWN


 昨年11月に中野サンプラザで行なわれたTHE BEATNIKS高橋幸宏鈴木慶一)のライヴがBSで放映されたのでチェック。


 実に大人っぽい、落ち着いた雰囲気のライヴである。派手なステージアクションがある訳でもなく(まさかね)、メンバーは昨年リリースされたアルバム『Last Train to Exitown』の曲を中心に淡々と演奏を続けてゆく。ステージのバックにはアメリカの田舎の風景を映し出したモノクロの映像(on the roadか)が流れている。


 演奏された曲は、『Last Train to Exitown』から「A Song for 4 Beats」「Ghost of My Dream」「Camisa De Chino」など。ラヴィン・スプーンフルのカヴァー「つらい僕の心 Didn’t Want To Have To Do It」もしみじみとしていい感じ。まるで彼らのオリジナル曲のようにフィットしている。過去のアルバムからは、『EXITENTIALIST A GO GO』(1987年)から「ある晴れた日に」「ちょっとツラインダ」、『M.R.I.』(2001年)から「The Beatniks09 6 Billion Heavens」など。かの名曲「LEFT BANK 左岸」も演奏してくれたのは嬉しかったなあ。こうして聴いてみると、とにかく曲が良いのだなあ。丁寧に丁寧に選ばれた言葉(歌詞)も。ビートの先達たちへのオマージュが織り込まれた「A Song for 4 Beats」の歌詞とメロディの素晴らしさ。震えるような2人の歌声も良い。


 幸宏氏と慶一氏をサポートするメンバーは、白根賢一(Drums)、高桑圭(Bass)、堀江博久(Keyboard)、高野寛(Guitar)、高田漣(Guitar)、権藤知彦(Manipulator)。きちんとスーツを着こなしたイケメン揃いの若手を引き連れた幸宏氏・慶一氏の図は、何だかとても(いわゆるホントの)BEATNIKっぽい。いやゲイっぽいという訳ではないんですが。バロウズギンズバーグとその取り巻きみたいな感じで。カッコ良いです。


 THE BEATNIKSのライヴは、関東に住んでいた頃に一度だけ見た事がある。『M.R.I.』の時だから2001年。ドラムを叩く生幸宏を見て感激したっけ。昨年は色々あったので、とても上京して見にいけるような状況ではなかった。今回放映された番組がライヴの全てではないだろうから、やはり生で見たかった聴きたかったなあと思う。(ネットでライヴの曲目を調べてみたら『出口主義』からも数曲やった模様。カットアップ実演なんてのも)


 ラストは『Last Train to Exitown』からフォーキーな「最終出口行き Last Train to Exitown」。この公演はTHE BEATNIKS結成30周年のアニバーサリー・ライヴでもあった。ムーンライダーズは活動休止してしまったけれど、THE BEATNIKSはこれから先何年でも続けて欲しいと思う。70歳を迎えた2人がどんな曲を作るのか、青いままで老人になることは可能なのか、興味は尽きないではないか。