Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『WOOD Fuji TV Special ムーンライダーズ』

 

 YouTubeにフジテレビで放映された音楽番組『WOOD Fuji TV Special』(1993年オンエア)ムーンライダーズ出演回を見つけたのでチェック。これは当時見た記憶が無いのでありがたい。副題は「CINE MANIA NEO CAMERA EGAL STYLO」。メンバーは何故か神父スタイルで登場、トークは一切無し(潔い)、曲は映画音楽のカヴァーのみというかなりマニアックな仕様でした。

 

 演目は、まずフェリーニの『道』(ニーノ・ロータ)。博文さんによる日本語詞で、慶一さんが「ジェルソミーナ・・・」と歌い上げます。

 次はロベール・アンリコの『ラムの大通り』(フランソワ・ド・ルーベ)。コーラスに尼さん衣装のスリー・グレイセスが参加。スリー・グレイセスは後年、慶一さんのソロ『ヘイト船長回顧録』にも参加しています。当時から交流があったのですね。かしぶちさんが『「さよなら」の女たち』の音楽を担当した時、大森一樹監督からの要望は「フランソワ・ド・ルーベで」ということだったらしい。あの年代の方々にはアンリコ+ド・ルーベは特別なんだろうなと思います。

 次はルネ・クレマンの『太陽がいっぱい』(ニーノ・ロータ)。良明さんのスパニッシュギターから始まり、くじらさんのトランペットがあの有名な切々としたメロディー部分を奏でます。

 次はリリアーナ・カヴァーニの『愛の嵐』(ダニエレ・パリス)。かしぶちさんによる日本語詞付き。くじらさんのバイオリンが大活躍。岡田さんがアコーディオンを奏で、博文さんがリコーダー吹いていたり、ムーンライダーズ知らずにこの番組だけ見たらロックバンドとは思わないだろうなあ。

 最後はジュールズ・ダッシンの『日曜はダメよ』(マノス・ハジダキス)。この曲は後にムーンライダーズ feat. 小島麻由美名義で再演されてシングル『ゲゲゲの女房のうた』(2010年)にカップリングで収録されてました。番組では女性ヴォーカル部分をスリー・グレイセズが担当、とっても楽しい雰囲気です。

 

 初期のライヴ音源集成『THE WORST OF MOON RIDERS』(1986年)など聴くと、当時は映画音楽のカヴァーなどもレパートリーとしていたようです。こういう企画はぜひともまたやって欲しいなと思います。CINE MANIAかつムーンライダーズマニアとしては、いくらでも聴いていられますね。