Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『アミューズメント・パーク』(ジョージ・A・ロメロ)

 

 アマプラにて、ジョージ・A・ロメロ監督『アミューズメント・パーク』(1973年)鑑賞。モダン・ゾンビ映画の祖ロメロが手掛けた異色作。年齢差別や高齢者虐待をテーマにした教育映画として製作されたという53分の中編で、社会派の視点+ホラーという成り立ちはロメロらしいところ。

 

 お話は、遊園地を訪れた老人がひたすら虐待を受け続けるという陰惨極まりないもの。アマプラの紹介画面にも「遊園地で老人が罵られ、大変な目にあう。」という一文が添えられているだけ。ロメロが誰だか知らずに「うっかり嫌なもの見ちゃった」という観客もいそうで、それはホラー映画との出会い方としては正しいような気がしないでもない。

 

 ショック場面では、フリークショーと占いの場面が特にキツかった。『ゾンビ』よろしく暴走族の襲撃を受ける場面も。映像自体は荒々しく、恐らく主人公を演じるリンカーン・マーゼル以外は素人と思われ、超傑作『ゾンビ』以前の「ピッツバーグのインディーズ作家」というロメロの立ち位置が良く伝わってくる。フィルモグラフィーを辿ると、本作の次が『ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖』だったんで震えた。このステップアップは凄いなあ。

 

 路上に放置された食べかけのフライドチキンが妙に印象的だった。辛い。