Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『黄金の七人 1+6 エロチカ大作戦』(マルコ・ヴィカリオ)

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『黄金の7人・1+6エロチカ大作戦』 HOMO EROTICUS


 監督/マルコ・ヴィカリオ
 脚本/マルコ・ヴィカリオ、ピエロ・キアラ
 撮影/トニーノ・デリ・コリ
 音楽/アルマンド・トロヴァヨーリ
 出演/ロッサナ・ポデスタ、ランド・ブッツァンカ、シルヴァ・コシナ、ピア・ジャンカルロ
 (1971年・104分・イタリア)


 先週末は久々に映画マラソンを敢行した。土日合わせて8本。メニューは、『怒りの山河』『黄金の七人・1+6エロチカ大作戦』『エンジェル・ウォーズ』『ノイズ』『リセット』『ヌードの夜・愛は惜しみなく奪う』『MAD探偵 7人の容疑者』『キラー・インサイド・ミー』。これくらい見てようやく日頃の飢えが満たされる感じ。やはり一番の愉しみは映画鑑賞だ。映画を見終えると、とても優しい気持ちになる。例えその映画がつまらなかったり、気に入らなかったとしても。さておき、個々の感想は順次アップしていきます。この8本はどれも楽しかったけれど、中でもジョニー・トー&ワイ・カーファイ監督の『MAD探偵 7人の容疑者』の奇怪な演出には唖然とさせられた。トーさん凄いわ。


 という訳で、まずは黄金の七人 1+6 エロチカ大作戦』について。マルコ・ヴィカリオ監督とロッサナ・ポデスタ主演の『黄金の七人』コンビによる艶笑喜劇。邦題に『黄金の七人』と謳われているけど、ロッサナ・ポデスタが出ているだけで何の関係もない。


 シチリアの田舎からナポリへ出てきた主人公ミケーレ(ランド・ブッツァンカ)は、金持ちの奥様(ロッサナ・ポデスタ)に気に入られて執事として上流階級に入り込む。生まれつき睾丸が三つあるという特異体質のミケーレは、絶倫ぶりを発揮して奥様連中から理髪店の娘までコマしまくって大騒ぎ・・・というお話。


 かつてナポリには同様の特異体質を持った英雄がいたという設定で、博物館に飾られた英雄の彫像の盾に三つの睾丸が施されているのには笑った。パゾリーニのような「上流階級の偽善を暴く」的なテーマ性は皆無で、他愛もない単なるエロ話であった。下らないっちゃあ下らないんだけど、ヴィカリオ監督の陽気で大らかな演出、セルジオ・レオーネ作品やパゾリーニ作品で知られる名カメラマン、トニーノ・デリ・コリによる色彩、アルマンド・トロヴァヨーリによる愉快な音楽、とイタリア映画ならではの楽しさは充分味わえた。とりわけトロバヨーリの音楽は絶好調で、映像との相性は最高。「トロヴァヨーリの音楽を見る」みたいな一体感を生み出している。それだけでも見た価値はあった。下らなかったけど。


 イタリア映画ならではのけばけばしい化粧と派手な衣装でロッサナ・ポデスタを筆頭に熟女が勢揃い。熟女好きにはそれだけでも楽しめるであろう。主人公がどことなく高橋幸宏に似ていて、どうしても「助平な幸宏がトロヴァヨーリ・サウンドに乗って大騒ぎ」という映画に見えてしまって困った。