2001年、DREAM MACHINE/Waner Music Japanよりリリースされたアルバム『ダイア・モロンズ・トリビューン Dire Morons TRIBUNE』 。活動25周年を迎えて、ムーンライダーズMoonridersのアナグラムをタイトルに掲げた新聞とはいかなるものか。コピーは「めくるめく引用、捻くれたポップ・センス。日本にも、こんなバンドが今も在る!!」。「こんなバンドが今も在る」って言い回しが何だか妙だなあ。まあいいけど。
収録曲は、
M-1.「Headline」(作詞・作曲/鈴木慶一)
M-2.「We are Funkees」(作詞・作曲/白井良明)
M-3.「Morons Land」(作詞・作曲/かしぶち哲郎)
M-4.「Bawm Bawm Phenomenon」(作詞・作曲/岡田徹)
M-5.「天罰の雨」(作詞/鈴木博文 作曲/岡田徹、白井良明)
M-6.「Blackout」(作詞・作曲/鈴木慶一)
M-7.「Curve」(作詞・作曲/かしぶち哲郎)
M-8.「Flags」(作詞・作曲/鈴木博文)
M-9.「今日もトラブルが・・・」(作詞・作曲/鈴木慶一)
M-10.「Che なんだかなあ」(作詞・作曲/鈴木博文)
M-11.「静岡」(作詞・作曲/白井良明)
M-12.「俺はそんなに馬鹿じゃない」(作詞・作曲/武川雅寛)
M-13.「涙は俺のもの」(作詞・作曲/鈴木慶一)
M-14.「Lovers Chronicles」(作詞・作曲/鈴木慶一)
M-15.「棺の中で」(作詞・作曲/鈴木博文)
M-16.「イエローサブマリンがやってくるヤア!ヤア!ヤア!」(作詞/鈴木慶一 作曲/岡田徹)
前年のミニ・アルバム『Six musicians on their way to the last exit』はソロ曲を集めたものであった。本作ではM-1「Headline」〜M-2「We are Funkees」こそバンドらしい(ムーンライダーズらしい)弾けた魅力を感じさせてくれるけれど、後はかなり各メンバーの個人色が強い楽曲が並んでいる。
2001年と言えば、9.11テロの発生した年である。メンバーが無関心であろうはずもなく、直接的な歌詞は無いけれど、アルバム全体がどことなく息苦しく刺々しい空気を纏っているようだ。やはり世相を反映し暗い仕上がりだった『ムーンライダーズの夜』の濃厚な文学的タッチとはまた違って、淡々としていて余計に生々しい感じ。
慶一氏の曲が特に暗い。M-6「Blackout」、M-9「今日もトラブルが・・・」、M-14「Lovers Chronicles」。特にM-14とかメチャクチャに暗くて、プライベートで何があったのだろうと心配になる。かしぶち氏のM-3「Morons Land」、博文氏のM-8「Flags」、M-15「棺の中で」もまた。棺の中でって・・・。
慶一氏のM-13「涙は俺のもの」、博文氏のM-10「Che なんだかなあ」、武川氏のM-12「俺はそんなに馬鹿じゃない」、良明氏のM-11「静岡」はそれぞれの人柄が滲む佳曲で、アルバムの雰囲気を和らげている。でも何だか寂しい感じがするんだよなあ。「暖かい」というより「物哀しい」というか。ソロ色が強すぎて、バンドっぽさが薄いからかもしれない。正に「Che なんだかなあ」という感じである。
全体にいささか暗いトーンの曲が多い中で、岡田氏の軽快な2曲(M-4「Bawm Bawm Phenomenon」とM-16「イエローサブマリンがやってくるヤア!ヤア!ヤア!」)がアルバムに救いをもたらしているようだ。個人的なベスト・トラックはかしぶち氏のM-7「Curve」。お洒落で面白い曲だけど、これまた急カーヴを曲がり損ねるようなブラックな歌詞。暗い・・・。
2000年以降のライダーズのアルバムは、1曲1曲に詰め込まれた情報量が異様に多くて、聴き応えはあるけれどアルバム通して聴くのはちょっと疲れるなあという印象がある。50代に入ったメンバーの年齢が関係しているのだろうが、諦観や虚無に陥るような生々しい歌詞が増えてきたように思えるのも辛いところ。2001年の『Dire Morons TRIBUNE』はそんな印象を受けた最初のアルバムだった。もちろん、そういった混沌とした感じも嫌いではないけれど・・・。それに加え『Dire Morons TRIBUNE』は妙な息苦しさが気になって、個人的にはあんまり聴き返す事の無いアルバムではある。
- アーティスト: ムーンライダーズ
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2011/01/26
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