Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(スティーヴン・スピルバーグ)



タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
THE ADVENTURES OF TINTIN THE SECRET OF THE UNICORN


 監督/スティーヴン・スピルバーグ
 原作/エルジェ
 脚本/スティーヴン・モファット、エドガー・ライトジョー・コーニッシュ
 音楽/ジョン・ウィリアムズ
 出演/ジェイミー・ベルアンディ・サーキスダニエル・クレイグサイモン・ペッグニック・フロスト
  (2011年・107分・アメリカ)


 久々に映画館へ。シネコンMOVIX利府にてレイトショー、スティーヴン・スピルバーグ監督の新作タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密見る。先週封切られたばかりなのにお客さんの入りはちょっと寂しかった。


 海賊に襲撃され沈没した伝説の軍艦ユニコーン号の秘密を巡り、記者のタンタンが相棒の忠犬スノーウィとともに世界を股に掛けた大冒険を繰り広げる・・・というお話。ノリはほとんどインディ・ジョーンズの若造版(犬付き)という感じ。スピルバーグお得意のじらし演出やしつこいアクションはてんこ盛りで、2時間退屈すると言う事はなかった。なんだけど、最新技術を駆使した映像(3D技術、CGアニメ/パフォーマンス・キャプチャー)、財宝やら海賊やらのお話、もう全てが観客置き去りにして勝手に先走って行くというような印象だった。物語やキャラクターに同調して一緒に楽しむというのではなくて、何だか凄い映像をただ眺めているという感じ。


 本作には『ロード・オブ・ザ・リング』(というより『ブレインデッド』の)ピーター・ジャクソン監督が製作に参加している。ピーター・ジャクソンはタンタンのマニアなんだそうだ。ジャクソンとスピルバーグという2大バッド・テイスターのコラボレーションには不安と期待が盛り上がったが、お話的にも描写的にも何ら過剰な部分は見られなかった。ホッと胸を撫で下ろしつつも、ちょっぴり残念だった。ってオレは何を期待してたのか。


 残念だった事がもうひとつ。クレジットを見て驚いた事に、本作には快作『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ』のチームが参加しているではないか。脚本にエドガー・ライト、キャスト(インターポールの捜査官役)でサイモン・ペッグニック・フロスト。なんだけど、別に彼ららしいテイストや見せ場があったようには思えなかった。


 実は、前夜にTVで宮崎駿監督『天空の城ラピュタ』を久しぶりに再見したばかりだった。『タンタン』に乗り切れなかったのはそれも原因かなあと思う。いや真面目な話。『ラピュタ』の見事な空間演出とアクションの呼吸、伸びやかさに比べると、『タンタン』の映像はいかにも不自由で息苦しい。


 『タンタン』で好きだったのは、OPの映像。「コミック原作の冒険映画」というワクワク感が一番表現されていたと思う。ジョン・ウィリアムズのいつになくクールな曲調とアニメは、スピルバーグの自作『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』にちょっと似てたけど。