Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『フレンチ・コネクション』(ウィリアム・フリードキン)


フレンチ・コネクション』 THE FRENCH CONNECTION


 監督/ウィリアム・フリードキン
 脚本/アーネスト・タイディマン
 撮影/オーウェン・ロイズマン
 音楽/ドン・エリス
 出演/ジーン・ハックマンロイ・シャイダーフェルナンド・レイ、トニー・ロー・ビアンコ、マルセル・ボズフィ、フレデリック・ド・パスカル
 (1971年・105分・アメリカ)


 MOVIX利府で開催中の「午前十時の映画祭」、先週の『ダーティハリー』に続いて、今週はフレンチ・コネクションが登場!『フレンチコネクション』といえば『ダーティハリー』と並ぶ70年代アクションの偉大な金字塔だ。これをスクリーンで見逃す手は無いと劇場に駆けつけた。


 マルセイユとニューヨークを結ぶ麻薬ルート‘フレンチ・コネクション’。通称“ポパイ”ことジミー・ドイル刑事(ジーン・ハックマン)と相棒のラソー刑事(ロイ・シャイダー)は、ニューヨークにやって来た組織の元締めシャルニエ(フェルナンド・レイ)を追ってデッドヒートを繰り広げるが・・・。


 『ダーティハリー』同様に、本作も初見はTVの吹替洋画劇場であった。以来、何度も何度も何度も見ているのだが一向に飽きることがない。ハックマン&シャイダーの刑事コンビの暴走は何度見ても元気が出る。有名な高架線下のカーチェイス他アクションシーンのド迫力。ドン・エリスによる劇伴はほとんど不協和音のようなインパクト。パワフルなだけでなく、70年代アクション特有の陰りがまた絶妙のブレンドとなっている。ドキュメンタリー・タッチで捉えられた荒涼としたニューヨークの街並み、ぶつ切りのラストのビターな味わい。劇中の店内で流れる音楽やファッションなど風俗描写がまたファンキーで楽しいのだ。


 今回初めてスクリーンで見た訳だが、早口のスラングが飛び交う台詞の応酬は字幕で追い切れていないところも見受けられた。そこで思い出すのはかつてTV放映された際の日本語吹替である。小池朝雄ジーン・ハックマン)、羽佐間道夫ロイ・シャイダー)、大平透フェルナンド・レイ)、山田康雄(トニー・ロー・ビアンコ)、柴田秀勝フレデリック・ド・パスカル)らによる吹替えは正に絶品。ある意味オリジナルを超えた人間臭い魅力を放っていた。「みんなサンタは好きかあ」「何言ってんだこの人は」「あるあるあるあるある」「おい、そこのモジャモジャ」「モジャモジャって俺のことかい?」「その人はいいー!」「止まれ!(と言いつつ速射)」「FBIを撃ったぜ」「それより今はフランスのヒゲだ」「サル・ボカの妻アンジー」等々・・・。素晴らしい。現在発売されているDVDにはこのオリジナルキャストの日本語吹替版が収録されているので、皆さま是非お試しあれ。ちなみにジョン・フランケンハイマー監督による続篇もなかなかの好篇で、こちらも小池ハックマンと羽佐間ベルナール・フレッソンの名演が楽しめる。