Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『リアル・スティール』(ショーン・レヴィ)


リアル・スティール』 REAL STEEL


 監督/ショーン・レヴィ
 原作/リチャード・マシスン
 脚本/ジョン・ゲイティンズ
 撮影/マウロ・フィオーレ
 音楽/ダニー・エルフマン
 出演/ヒュー・ジャックマン、ダコタ・ゴヨ、エヴァンジェリン・リリーアンソニー・マッキー
 (2011年・128分・アメリカ)


 リチャード・マシスン原作のSFアクションリアル・スティール見る。今だ衰えないマシスンの人気には驚かされる。監督は『ナイト・ミュージアム』のショーン・レヴィ


 人間の格闘技が廃れ、ロボット格闘技が主流となった近未来。かつては名ボクサーだったチャーリー(ヒュー・ジャックマン)は、オンボロのロボットをトラックに積み込み地方を巡業する毎日。ある日、別れた妻が急死し、幼少の頃以来会ったことのない11歳の息子マックスの面倒見るハメになってしまった・・・。


 息子を大型トラックの助手席に乗せて、格闘技の地方巡業・・・ってスタローンの映画があったなあ。アームレスリングだったかあれは。ハイテクなロボットが稼動する近未来の話にも関わらず、映像の雰囲気、子役のいじましい演技、ベタなお話等々、何やら懐かしい感じで既視感を覚えた。音楽はティム・バートン作品でお馴染みのダニー・エルフマンで、いつもと違っていかにもアメリカンな音作り。これはこれで悪くないんだけど、何だかお話がスラスラと上手く展開し過ぎな印象を受けた。登場人物たちがみんな物分りが良過ぎるというか。映画の主眼が親子のドラマに置かれてるせいで、SF映画としては物足りない。ロボットの操作のディティールなどもっと詳しく見たかったと思う。いかにも懐かしいアメリカンな雰囲気とハイテクロボットのミクスチャーという意味では、最初に出てくる闘牛の場面なんか面白いと思った。


 映画では、人々がより大きな刺激を求めてロボット格闘技に走り、人間の格闘技は廃れてしまった、という設定だ。機械メーカーやゲームメーカーの思惑からロボット格闘技が流行るというのは分かる。でもより大きな刺激を求めて、というのはどうだろう。刺激という意味では、やはり肉体を駆使し血を流す人間の格闘技に勝るものはないと思うのだが。