Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『新・荒野の七人/馬上の決闘』(ポール・ウェンドコス) 

 大分前にテレ東・午後のロードショーで録画した『新・荒野の七人/馬上の決闘』。言わずと知れた名作『荒野の七人』のシリーズ第三弾です。舞台は革命の騒乱に揺れるメキシコ。政府軍が革命の指導者を連れ去り、厳重な警備を誇る刑務所に幽閉した。革命派の農民たちはガンマンを雇い、指導者の救出に向かうが・・・というお話。


 タイトルに「THE MAGNIFICENT SEVEN」と謳われているので正当な続編扱いではあるのですが、正直言って見所の無い凡作だと思いました。いかに主人公がクリスという名前でも演じるのがジョージ・ケネディでは全く別の世界ですよね。肝心の七人はジョージ・ケネディ以下、バーニー・ケイシー、ジェームズ・ホイットモア、ジョー・ドン・ベイカーら。革命派の農民の青年を演じるのは、『ダーティハリー』一作目の相棒チコことレニ・サントーニ。七人個々の見せ場がちゃんと用意されていないのが辛い。景気良く流れるエルマー・バーンスタインのテーマ曲が貧弱な画面から浮いてました。なんだけど、TV放映用に程良くカットされ、芸達者な声優陣の演技のフォローによって、これでもオリジナルよりも面白かったんではないかと思います。


 マカロニウエスタン・ブームの火付け役となった『荒野の用心棒』は黒澤明の『用心棒』の翻訳であり、本シリーズの一作目『荒野の七人』も同じく黒澤の『七人の侍』の翻訳。革命期のメキシコを舞台にした活劇は、セルジオ・レオーネの『夕陽のギャングたち』、セルジオ・コルブッチの『ガンマン大連合』『豹/ジャガー』をはじめとしてマカロニウエスタンお馴染みの世界。『ガンマン大連合』で革命の指導者を演じたフェルナンド・レイが本作でもほとんど同じ役柄で出演。・・・とまあ、色んな意味でマカロニウエスタンとの親和性の高い映画でありました。


(『新・荒野の七人/馬上の決闘』 原題GUNS OF THE MAGNIFICENT SEVEN 監督/ポール・ウェンドコス 脚本/ハーマン・ホフマン 撮影/アントニオ・マカソリ 音楽/エルマー・バーンスタイン 出演/ジョージ・ケネディ、モンテ・マーカムジョー・ドン・ベイカー、ジェームズ・ホイットモア、レニ・サントーニ、マイケル・アンサラ、フェルナンド・レイ、バーニー・ケイシー 1969年・110分・アメリカ)