Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

*[ムーンライダーズ]『Ciao! ムーンライダーズ・ブック』


 2011年11月11日の活動休止宣言から早3年が過ぎて。2013年12月にドラマーのかしぶち哲郎さんが亡くなってからは、もうムーンライダーズの姿を見るのは叶わないのだという喪失感に囚われておりました。活動休止後に出たメンバーのソロアルバムを聴いても、(ライダーズは個性的なソロの集合体だということは理解しているつもりでも)ついつい「ライダーズっぽい曲はないか」と探してしまうのでした。


 昨年12月にはライダーズ周辺で様々な動きがありました。TBSの深夜番組「オトナの!」でムーンライダーズ特集「ムーンライダーズがなくちゃ生きていけない!」が放映され、かしぶちさんの命日にあたる12月17日には限定復活ライブ「moonriders LIVE 2014 Ciao Mr.Kashibuchi」が開催され、トリビュートアルバム『a tribute to Tetsuroh Kashibuchi〜ハバロフスクを訪ねて』、『火の玉ボーイコンサート』DVD、メンバーの新しいソロアルバムなどが続々リリースされ・・・。なのですが、忙しさにかまけてしばらく情報収集を怠っていたために、すっかり乗り遅れてしまいました。「オトナの!」は見逃したし、トリビュートアルバムも限定復活ライブも全くノーチェックでした。年末の休みに久々(半年ぶりくらい?)立ち寄ったCDショップでトリビュートアルバムを発見して仰天、慌てて購入しました。限定復活ライブの告知には愕然、既に後の祭りでした。思えば、彼らはよく12月にアルバムのリリースやライヴを行っていたので、ファンなら予想してしかるべきでしたが・・・。嗚呼。


 「オトナの!」は後日You-tubeにアップされていたので見ることが出来ました。個人的には、ライダーズが出演するTV番組って、いつも「もっとシャープに紹介出来ないもんかなあ」とフラストレーションがありました。(まあ動くところ見れるだけで嬉しいというのはありましたが) 今回の「オトナの!」はディレクター氏がライダーズのファンだそうで、バンドのヒストリーやアルバムの紹介の仕方、メンバーの個性や人柄の引き出し方などなど、非常に的を得た演出であったと思います。そうそう、こういう風に見せて欲しかったんだよ!と嬉しくなりました。ちなみにディレクター氏とかしぶちさんの御子息イチ押しアルバムは『アニマル・インデックス』だそうです。


 そんな中、新しいムーンライダーズ本が出ました。題して『Ciao! ムーンライダーズ・ブック』(シンコー・ミュージックMOOK)。名著『フライトレコーダー』(1990年)に始まって、どういう訳か新しいライダーズ本は数年おきに出版されています。きっと編集者の方々も自分の手で作りたいんだろうなあ。自分も編集者だったら、自分のライダーズ本作ってみたいもんね。


 『Ciao! ムーンライダーズ・ブック』の内容は、全アルバムレビュー、メンバーの最新インタビュー、かしぶちさんの追悼記事、限定復活ライヴ『moonriders LIVE 2014 Ciao! Mr.Kashibuchi』のレポート、若手ミュージシャンによる『カメラ=万年筆』のマルチ音源試聴会、ライダーズ・ファンのミュージシャンやライターの方々が「究極の10曲」を選ぶというアンケートなど・・・。最新インタビューではかしぶちさんの死にまつわる話が各メンバーの口から語られていて、胸が締め付けられる思いがしました。ミュージシャンとして尽きることの無い表現衝動には、「この人たちはどこまで行くのだろうなあ」と思いましたね。


 さて、『Ciao! ムーンライダーズ・ブック』に倣って、自分も「究極の10曲」を選んでみました。思いっきり定番曲ばかりですが、好きなんだからしょうがない。こうしてみると、彼らのファンとしてともに歩んできた30数年、その時々の女性関係(って言うと大袈裟ですが)が反映しているような気がしないでもないなあ。


「青空のマリー」
「9月の海はクラゲの海」
「DON'T TRUST ANYONE OVER 30」
「涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない」
「ダイナマイトとクールガイ」
「BEATITUDE」
「Sweet Bitter Candy」
「ゆうがたフレンド(公園にて)」
「Cool Dynamo, Right on」
「主なくとも 梅は咲く ならば(もはや何者でもない)」


 ムーンライダーズはもうすぐ結成40周年を迎えます。その時にはまた様々な動きがあることでしょう(多分)。『Ciao! ムーンライダーズ・ブック』を読んで、その後のライダーズ活動チェックを再開しよう!と思いを新たにしているところです。