Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

「薔薇がなくちゃ生きていけない」とか、その他


 久しぶりの東京は、滅茶苦茶寒かった・・・。東北に比べれば大したことないだろうと甘く見て、薄着してったのが大失敗。開場待ちの列に並んでる間寒過ぎて風邪ひくかと思ったよ。


 という訳で、昨夜中野サンプラザで行われたムーンライダーズのライヴ『Ciao! THE MOONRIDERS』に行ってまいりました。思うところ多過ぎてまだ冷静に考えることが出来ないけれど、今のうちにライヴの模様を簡単に書き記しておきます。曲順は記憶を頼りに書いてるので、若干間違えてるかも。詳しいセットリストはそのうち公式HP等に掲載されるだろうから、そちらを参照のほど。


 6時半の開演時間をかなり押し気味でコンサートは始まった。アコースティック楽器を手にしたメンバーが、別々の客席入り口から登場。客席でそれぞれリラックスした演奏を披露。自分の席の近くでは、岡田氏がアコーディオンを抱えて「週末の恋人」(何とまあ)を演奏。他のメンバーが何歌ってたのかは不明。それが終わると、メンバーは客席中央辺りに集まり、ざっくりした感じで「Damn! MOONRIDERS」を演奏。くたばれ!ムーンライダーズ、くたばれ!ムーンライダーズ・・・。そこからメンバーはステージに上がり、まだ下りたままの幕の前で「鬼火」を!『ワースト・オブ・ムーンライダーズ』に収録されてたアコースティック・バージョンの「鬼火」が生で聴けるとは思わなかったので感激した。歌が続く中、メンバーはひとりひとり幕の向こうに消えてゆく。最後に慶一氏がひとり残った。


 幕の向こうからノイジーサウンドが高鳴り、慶一氏がポエトリー・リーディング形式で叫ぶ。新譜から「who's gonna be reborn first?」だ。「月の裏側を漂う友達に 僕の遠吠え届けと 彷徨う旅人に 今年の遠吠え届けと」・・・ここから本格的にライヴ・スタート!


 爆音が炸裂し、幕が上がると「Who's gonna die first?」が始まった。観客はすでに総立ち。観客が初めから総立ち?そんなライダーズのライヴは初めて見たかも。続いて「DON'T TRUST ANYONE OVER 30」。歌詞の「30」が「50」「60」に変わっている。30歳以上を信じるな、憎むよりも先に。40歳以上を信じるな、悲しむよりも先に。50歳以上を信じるな、怒りよりも先に。60歳以上を信じるな、嘆くよりも先に。良明氏がギターをバリバリ弾きまくって痛快極まりない。続いては30周年記念ライヴで冒頭を飾った「Frou Frou」、泣きの「涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない」、へヴィな「Morons Land」と続く。


 慶一氏の短いMCの後は、新譜『Ciao!』から各メンバー1曲ずつ披露。武川氏の「弱気な不良 Part-2」、慶一氏の「Mt.,Kx」、博文氏の「オカシな救済」、岡田氏の「ハロー マーニャ小母さん」、かしぶち氏の「ラスト・ファンファーレ」、良明氏の「Masque-Rider」。「オカシな救済」はホント良い曲だなあ。「めろんぱんになって〜」って歌い出しが最高。


 新譜コーナーが終わると、博文氏がアコギに持ち替えて「ボクハナク」。「ダイナマイトとクールガイ」「Cool Dynamo, Right on」と正続編を続けて演った後は、良明氏の「トンピクレンッ子」、反戦歌「ヤッホーヤッホーナンマイダ」、そして「スカーレットの誓い」。「薔薇がなくちゃ生きていけない」という部分の美しさは永遠だ。


 アンコールは、客席から女性のお客さんたちをステージに上げてコーラスしてもらい「マスカット・ココナッツ・バナナ・メロン」。リラックスした雰囲気からは、70年代のライヴはきっとこんな感じだったのかなあと想像させてくれる。続いて、男性のお客さんたちをステージに上げて「花咲く乙女よ穴を掘れ」。穴掘りポーズを延々続けた皆さんお疲れ様でした。この2曲を続けてやるとエロい含みが露骨に分かって実におかしい。


 続いては「Kのトランク」。「住み慣れた20世紀の街 花火のように過去が消える」という歌詞を「21世紀」に変えて「さよなら さよなら」と。クライマックスは「BEATITUDE」、オーラスは新譜から「蒸気でできたプレイグランド劇場で」。きらびやかなテープが飛んだり、赤いフーセンや紙飛行機が客席に舞い降りてきたり、ライダーズらしからぬとっても派手な演出だった。今までライダーズのライヴで見たことないくらいお客さんのノリも良かった。


 簡単なメンバー紹介を終えて、メンバーは客席に下りて握手をしながら通路を一回り。その間、「6つの来し方行く末」の新録バージョン(ひとりひとりのパートをアカペラで歌い、最後に「Ciao!」とご挨拶で締める)が流れる。メンバーが会場を去った後、場内は再び暗くなり、ステージに月の映像が映し出された。ネット配信された曲「Last_Serenade」(の別バージョンかな)が流れ、たくさんの曲の歌詞が浮かび上がっては消えてゆく。最後の最後に「Ciao!」の文字が浮かび上がり、コンサートはすべて終了・・・。素晴らしいライヴをありがとう。忘れられない一夜になりました。撮影隊がいたので、ライヴの模様はソフト化されるのかもしれない。期待して待ちたい。


 活動休止前のラスト・ライヴということで、メンバーひとりひとりのご挨拶コーナーとかやるのかと思ったけど、そういう感傷的な時間は一切無し。MCも必要最小限で、メンバーはひたすら演奏に専念していた。唯一印象的だったMCは、慶一氏が最後に言った「進化したらまた会いましょう!」というものだった。「進化」だよ。還暦の男たちがこれからまだ「進化」しようってんだから。期待して待とうじゃあないか。3年でも、5年でも、10年でも! オレらファンも進化してなきゃいけないな。