Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

調子悪くてあたりまえ、『ハロー、アメリカ』、とかその他

ハロー、アメリカ (創元SF文庫)

ハロー、アメリカ (創元SF文庫)


 おじさんたちの飲み会は「病気」の話で始まる。自分が若い頃には、会社の飲み会でおじさんたちが病気自慢をし合う様子を他人事のように見ていたものだが、40歳を過ぎた頃からだろうか、飲み会の話題はまず「病気」や「健康」に関することから始まるようになってしまった。今や同世代以上の飲み会になると、まずはお互いの健康を祝して乾杯する、みたいな感じが漂う。健康、というよりも「お互い無事でよかったね」みたいな。


 今年は正月からギックリ腰になって酷い目にあった。整形外科に行ったら医者に「年齢の影が忍び寄っていますね」と言われてしまった。「年齢の影」って・・・。まあ確かに、いつからかずっと異様な身体のだるさが抜けないし、すぐ二日酔いになるし、目がかすむし、頚椎症で右腕の痺れが消えないし。まさに「調子悪くてあたりまえ」(byビブラストーン)状態である。って、いかんいかん、ブログには「楽しいこと」「好きなこと」だけ書くんだった。


 話変わって。昨日『キートンの大学生』にノレなかった話を書いた。その後ネットであれこれ調べていたら、大作『キートンの将軍(大列車追跡)』の興行的失敗により、キートンはプロデューサーから監督権を奪われてしまったのだという。確かに、キートンは初期の作品を除いては自作自演が基本だが、『大学生』は別の監督(ジェームズ・W・ホートン)だった。そのせいでイマイチの出来だったのかな。別にこっちのテンションが低かったのでノレなかった訳ではないのかも。


 話変わって。我が最愛のSF作家J・G・バラードの長編『22世紀のコロンブス』Hello America(1981年)が『ハロー、アメリカ』と改題されて創元SF文庫から復刊!本屋で見つけて即購入。これ手元になかったんで嬉しいなあ。集英社から出ていた『22世紀のコロンブス』は、自分がバラードにのめり込んだ90年代後半にはすでに入手困難で、仕方なく図書館から借りて前頁コピーして持ってたですよ。


 『ハロー、アメリカ』は、石油資源が枯渇して無人の荒野と化した近未来のアメリカを、イギリスから来た探検隊が旅をする、というお話。かなりコミカルな味付けが施されていて、終末世界でのサバイバルを描いた初期の長編(『狂風世界』『沈んだ世界』『燃える世界』『結晶世界』)のセルフ・パロディの趣もある。探検隊が一喜一憂するデフォルメされたアメリカ幻想には思わず笑ってしまう(チャールズ・マンソン大統領なんてのが出てくるのだ)。かなりストレートな風刺SFであって、(バラード作品にしては)とっつきやすく読みやすい一冊だと思う。


 文庫の帯には「リドリー・スコット製作で映画化決定!」なんて書いてある。『殺す』(ハードカバーで出た時)には「バラード自身の脚本で映画化決定」なんて書いてあったっけ。監督ブラッド・アンダーソン+主演クリスチャン・ベイルの『マシニスト』コンビで、『コンクリートの島』映画化という話もあったけど。どうなったんだろうなあ。そういった意味では、ちょっと腰が退けちゃって未見だった『ハイ・ライズ』映画版をチェックする頃合か。


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