Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『呪いの館』(マリオ・バーヴァ)

呪いの館 [DVD]

呪いの館 [DVD]


 イタリアン・ホラーの巨匠マリオ・バーヴァ監督『呪いの館』(1966年)鑑賞。友人の妙愛博士から借りた輸入版Blu-rayにて。主演はマカロニウエスタン最初期の作品『赤い砂の決闘』に出てたジャコモ・ロッシ=スチュアート、『砂塵に血を吐け』『虹に立つガンマン』のエリカ・ブランら。


 イタリア語版で見ていたのでお話の詳細は良く分かってないけど、全く問題なし。映像を見ているだけで充分に満足出来た。夕陽が滲む遠景を何かに怯えた女が逃げる冒頭の場面からしてゾクゾクする。村にやってきた主人公(ジャコモ・ロッシ=スチュアート)を無言で眺める村人たちの顔つき。棺を運ぶ男たちを捉えた奇妙なロングショット。主人公が古い館を走り自らの(ドッペルガンガー?)の肩を掴んでしまう場面。少女の亡霊が登場する場面はどの場面も凝っていて嬉しくなる。何度か出てくる窓の外から少女の亡霊が覗いているショットの絶妙のタイミング。カメラが不思議な前後運動を見せる(やがて少女の亡霊が乗るブランコの動きだとわかる)場面。少女の亡霊が出現する前触れとして、廊下や階段を転がる鞠。等々・・・。忘れ得ぬイメージを残す名場面の連続で、マリオ・バーヴァの見事な恐怖演出を堪能した。


 美麗な色彩、美術、音楽が醸しだす濃厚なムード、凝りに凝った演出、そしてエロ味のスパイスも忘れない、これぞ怪奇映画、これぞイタリアン・ホラー、素晴らしい!


(『呪いの館』 KILL BABY KILL 監督/マリオ・バーヴァ 脚本/ロマノ・ミグリオリーニ、ロベルト・ナタール、マリオ・バーヴァ 撮影/アントニオ・リナルディ 音楽/カルロ・ルスティケリ 出演/ジャコモ・ロッシ=スチュアート、エリカ・ブラン、ファビエンヌ・ダリ、ピエロ・ルリ、ジャナ・ビバルディ、マックス・ローレンス  1966年・84分・イタリア)