Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』(ディーン・パリソット)

 

 

 何かお気楽な映画が見たくなって。ディーン・パリソット監督『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』(2020年)鑑賞。ロックスターに憧れる高校生のビルとテッドが、時空を超えて冒険を繰り広げる『ビルとテッド』シリーズの第3作。このシリーズは恐らくジャストな世代のはずなのに、当時はスルーしていました。後追いで見て何かノレないなあと首をひねった記憶が。なので、細かい設定はうろ覚えのまま、第3作目の鑑賞となりました。

 

 前作『ビルとテッドの地獄旅行』から29年ぶりということで、主人公たちはオッサンになっています。世界を救う曲を書くと予言されていたのにいまだに果たせず、2人のバンド「ワイルド・スタリオンズ」も落ち目。ある日、未来からの使者が現れ、2人が世界を救う曲を書かないと77分後に世界が滅びると告げます。曲が書けない2人は、タイムマシンに乗って、曲を書いたであろう未来の自分たちに教えを乞おうとするが・・・というお話。

 

 主人公たちが未来の自分たちと争いを繰り広げる前半のドタバタ劇は、どうももたついているという印象。主人公たちの娘2人が行動を始めてから映画が動き出して、後半は盛り返しました。娘2人が時空を超えて作るスーパーバンドのざっくりした顔ぶれがおかしい。音楽ネタでは、冒頭の結婚式場面で2人が奏でる新曲が最高でした。今や『マトリックス』『ジョン・ウィック』でアクションスターとして確固たる地位を築いたキアヌが、90年代初頭の当たり役(馬鹿な高校生)のその後を嬉々として演じているのが感動的で、大真面目な顔でテルミンを奏でる姿には爆笑しました。音楽ネタの映画らしい軽快なエンディングも良かった。監督は快作『ギャラクシー・クエスト』(1999年)のディーン・パリソット。

 

 楽しい映画でしたが、このご時世もあって、あれこれ考えて少し苦い気持ちにもなりましたね。こんな風に、音楽で楽しく世界が救われたらいいのに、とか。こんな風に、仲の良い友達と老人ホームに入っても馬鹿やり続けられたらいいなあ、とか。

 

『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』 Bill & Ted Face the Music    

監督/ディーン・パリソット 脚本/エド・ソロモン、クリス・マシスン 撮影/シェリー・ジョンソン 音楽/マーク・アイシャム

出演/キアヌ・リーヴス、アレックス・ウィンター、サマラ・ウィーヴィング、ブリジェット・ランディ=ペイン、ウィリアム・サドラー

2020年 アメリ