Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『殺人地帯U.S.A.』(サミュエル・フラー)

『殺人地帯U.S.A.』 UNDERWORLD U.S.A


 監督・脚本/サミュエル・フラー
 撮影/ハル・モーア
 音楽/ハリー・サックマン
 出演/クリフ・ロバートソン、ドロレス・ドーン、ベアトリス・ケイ、ロバート・エンハート、リチャード・ラスト
 (1961年・98分・アメリカ)


 俳優のクリフ・ロバートソン氏が亡くなった。享年88歳。先日、主演作『愛のメモリー』を見たばかりなのでショックだった。ご冥福をお祈りします。


 という訳で、追悼に『殺人地帯U.S.A.』(1961年)を。原題は「UNDERWORLD U.S.A.」。ジェイムズ・エルロイの小説みたいだ。これをして「殺人地帯」と訳す邦題のセンスも毒々しくて良い。カルト人気を誇るサミュエル・フラー監督の1961年度作品。
 

 父親をギャングに殺された主人公(クリフ・ロバートソン)が、復讐の為組織に戦いを挑む・・・というお話。復讐に燃える主人公を若きロバートソンがギラギラした存在感で演じている。

 
 OPからフラーならではのタイトな演出でぐいぐいと引き込まれる。撃たれた主人公が必死で逃げるラストシーンの生々しい迫力には惚れ惚れした。主人公の前のめりな生き方と、フラーの演出タッチが見事にシンクロしている。そういった筋の通し方がフラー(やオルドリッチ)の流儀であり、彼らの映画を見るとその点にいつも感動する。