Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『タルホロジー』(あがた森魚)

タルホロジー

タルホロジー


 あがた森魚『タルホロジー(2007年)聴く。プロデュースは久保田麻琴。デビュー35周年の年に発売された一枚。


 収録曲は、


 M1. 東京節
 M2. 百合コレクション
 M3. サブマリン
 M4. いとこ同志
 M5. 骨
 M6. 白い翼
 M7. SexiSexi
 M8. Taruphology
 M9. 雪ヶ谷日記
 M10. 弥勒
 M11. 午後4時のアメジスト
 M12. あともう一回だけ
 


 自分はそれほど熱心なオーディエンスではないのだけれど、このアルバムは凄く良かった。あがた氏のオリジナルな世界が、あまり様式美の罠に陥らずナチュラルに展開している。アルバム・タイトルの通り稲垣足穂的世界を歌うディープな曲もあれど、全体的にさらりとしていて聴き易い。音作りはプロデューサーの久保田麻琴色が強い印象。あがた氏のノスタルジックな詩世界に対し、久保田氏お得意のワールド・ミュージック・テイスト、アーシーなアレンジが意外な効果を生んでいると思った。ユーモラスな昭和歌謡(M1)のバックでスライド・ギターがギュンギュン唸ってたりして面白い。あがた氏のコアなファンの反応はどうだったんだろう。


 M1「東京節」は昭和歌謡のカヴァーで鈴木慶一細野晴臣のゲスト・ヴォーカル入り。M2「百合コレクション」、M3「サブマリン」はあがた氏80年代のテクノ・ユニット、ヴァージンVS.のセルフ・カヴァー。M2はやっぱりいい曲だなあと思う。M4「いとこ同志」はてっきりムーンライダーズのカヴァーかと思ったら、同名のオリジナル曲。M5「骨」は鈴木慶一/はちみつぱい(一度だけの再結成ライヴで披露された名曲)のカヴァー。あがたヴァージョンも素晴らしい。M5聴けただけでもこのアルバムを買った価値はあった。久保田氏とのコラボレーションが効果を発揮したM6「白い翼」、M7「SexiSexi」。M8「Taruphology」、M9「雪ヶ谷日記」、M10「弥勒」の3曲は、正に「タルホ組曲」。M11「午後4時のアメジスト」、M12「あともう一回だけ」のラスト2曲は、35周年のベテラン・ヴォーカリストとしてのあがた森魚を堪能できる名演。


 さておき。近日放映開始されるTVシリーズ『妖怪人間ベム』(亀梨和也主演の実写版)のメインキャストに、あがた森魚氏の名前が・・・。どうするよ、Kのトランク師。お茶の間で顔を拝めるなら見るべきか?