2001年にリリースされたTHE BEATNIKS(鈴木慶一+高橋幸宏)3枚目のオリジナル・アルバム『M.R.I. Musical Resonance Imaging』。前作の爽やかな音像とはがらりと変わって、渦を巻くような濃厚なサウンドに仕上がっている。(今回は前のブログの再録です)
収録曲は、
M-1. Water Mom (Drifting Again)
M-2. 25,000 RPMs
M-3. Honolulu Lulu (The Clown)
M-4. Wear Your Love Like Heaven
M-5. Move Right In
M-6. Rainy Day #66&828
M-7. Dohro Niwa
M-8. Tokei Paradizo
M-9. 6 Billion Heavens
M-10. Unending Heaven (Full of Loneliness)
M-5「Move Right In」で工事現場のような電子音が聴こえる。最初に聴いた時は何の音だろうと思ったけれど、頭痛が酷くてM.R.I.検査を受けた時に判明した。あれはM.R.I.検査機の中で響いている音なのだ。本作のアルバムタイトルはそのM.R.I.(磁気共鳴映像法=magnetic resonance imaging)検査機にひっかけて、『M.R.I. Musical Resonance Imaging』となっている。恐らく慶一氏や幸宏氏も受けたんだろうね、M.R.I.検査を。
さておき、これはとてもヘヴィーなアルバムだ。彼らが得意とする情けない男の心情吐露ソングM-6(「♪誰もこないバースディ ひとりのパーティ 火をつけるカレンダー 爆破するサンドウィッチ」・・・誕生日がイヤな中年男の歌だ)や、ハワイアン調のリゾート・ソング(というかトリップ・ソングか)M-3もあるけれど、本作で全開となっているのは「あの世」の世界だ。歌詞にもタイトルにもやたらと目につくのが「天国」「あの世」「はらいそ」「パラダイス」といった単語。収録されているカヴァー曲(M-4)はドノヴァンの「Wear Your Love Like Heaven」・・・。M-9は幸宏氏のアルバム『BROADCAST FROM HEAVEN』(1990年)収録の「6,000,000,000の天国」のセルフ・カヴァー。オリジナルよりさらに派手なアレンジになっていて、完全に天国イッちゃってる感じ。ただ事ではないなあ。
M-9のハイな世界が終ると、映画のエンディングのように静謐な最終曲(M-10)が流れだす。最終曲のイメージはアルバムジャケットと呼応する。雨の砂浜を歩くモノクロームの二人はまるで幽霊のようだ。2001年当時、慶一氏50歳、幸宏氏48歳。「あの世」を意識するにはちょいと早いと思うのだけれど。最終曲の副題はこうだ。Full of Loneliness。嗚呼・・・。
- アーティスト: THE BEATNIKS,Yukihiro Takahashi,Max Dodds,Keiichi Suzuki,Donovan,Vie Vie,B.B.Mo-Franck
- 出版社/メーカー: アゲント・コンシピオ
- 発売日: 2001/08/04
- メディア: CD
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