Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(ジェームズ・マンゴールド)

 

 ハリソン・フォード主演の冒険活劇シリーズ5作目にして最終章、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』鑑賞。あれこれ情報が耳に入る前にと思い、早めに劇場へと足を運んだ。監督はスピルバーグからジェームズ・マンゴールドに交代。マンゴールドは『コップランド』『ウォーク・ザ・ライン』『17歳のカルテ』『3時10分、決断のとき』『フォードvsフェラーリ』等、秀作が多いので期待。

 

 うーんこれは期待が大き過ぎたか。マンゴールドにしては雑過ぎるなあ。あれこれ不満だらけでフラストレーションがたまってしまった。不満を二つだけ挙げると、本作ならではの見せ場(アクション)に乏しいこと。もう一つは、人が無闇に死に過ぎること。

 

 本シリーズは各作品に特徴的な見せ場がある。1作目なら巨大な球、2作目なら吊り橋とトロッコチェイス、3作目はコネリー親父との掛け合い、4作目は核実験、という風に。今回はそんな特徴的な見せ場に欠ける。色々派手なアクションを盛り込んでいるものの、どれもこれも新鮮味に欠けるような印象だった。前半の都会や地下鉄で馬を駆るアクションとか発想は悪くないんだけど、何故かあんまりハラハラしない。老人アクションを工夫するとか、老人・女性・子供トリオのコンビネーションをもっとちゃんと展開するとか、本作ならではの見せ場の作り方は色々あったんじゃないかなと思う。

 

 クライマックスのトンデモ展開はアリだと思うし、悪役マッツ・ミケルセンは良かった。シリーズに特に思い入れはないけれど、それでも最後はホロリとしてしまった事を告白しておく。あれを老インディの結末とするならば、考古学の研究者にして冒険家という役柄をヒロインに継承するニュアンスがきちんと描かれていればもっとスッキリ収まったかなと思う。

 

 それにしても。本シリーズは残酷描写や、蛇や虫のしつこい見せ方、緊張感の中に笑いを入れ込んでくるところなど、良くも悪くもスピルバーグならではのアクの強い演出が大きな見所だったんだなとよく分かった。マンゴールドはいささか真面目過ぎるというか、冒険活劇ならではの荒唐無稽な呼吸がいまひとつだったかな。注目してる監督なんで、次回作に期待。