Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

「本はシェルター」とか、その他

 本当に久しぶりの更新です。まずは近況報告など。


 仕事の関係で、約7年間住んでいた仙台を離れ、千葉県某所に引っ越しました。職場まで片道約1時間の電車通勤生活です。仙台では幸い職場の近くに住んでいたので、「健康のため」と称して片道約35分の徒歩通勤をしていました。久々の満員電車はやはり苦痛以外の何者でもなくて、よくみんな我慢して乗ってるなあと改めて感心しました。元々が田舎者というのもあるでしょうが、あれには一向に慣れるということがありません。


 ここ数年、思うように時間が作れず、映画を見ることが叶わない日々が続いています。映画を見る時間より、映画を見たいと悶々とする時間が長くて、これでは「趣味は映画」じゃなくて、「どうすれば映画を見れるんだろうと思い悩むことが趣味」、みたいな感じになってしまいました。久々の帝都復帰で(仙台では想像もつかないくらい)沢山の映画が上映されている楽園を前にしていながら、この生活ペースを続けていては、結局美味しい果実を味わえないまま時が過ぎてゆくのは目に見えています。今年に入って劇場で見たのは『アメリカン・ハッスル』(デヴィッド・O・ラッセル)、『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』(エドガー・ライト)、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(アンソニー・ルッソジョー・ルッソ)他、わずかに5本のみ。当ブログは映画メインで更新してゆくつもりでしたから、このままではいかんなあと思いつつ時間が過ぎてしまいました。


 通勤途中には読書をしています。朝はさすがに難しいですが、帰りの1時間には読書に集中して、帰宅する前に仕事の悩みを頭から追い払います。今の自分にとって、この1時間が何にも替えがたい貴重な時間です。週に1〜2冊ペースで順調に読み進めていますので、当ブログはしばらく読書録をメインに更新していこうと思います。今はドナルド・E・ウェストレイクを片っ端から読んでいるところ。キャラの立ち具合、ユーモア、快調なテンポ、とどれも最良のアメリカ映画のごとき痛快な作品ばかりで、映画見れない憂さを幾分でも晴らしてくれます。


 平山夢明氏の短編「人形の家」(『暗くて静かでロックな娘(チャンネー)』収録)で、ヒロインがふと漏らす一言「本はシェルター」には泣けました。そうなんだよ物語は避難所なんだよ、とまあ、今はそんな気持ちです。


暗くて静かでロックな娘

暗くて静かでロックな娘