Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『悪魔が最後にやって来る!』(アルベルト・デ・マルチーノ)

悪魔が最後にやって来る! [DVD]

悪魔が最後にやって来る! [DVD]


 イタリア製のオカルト・ホラー『悪魔が最後にやって来る!』(1977年)鑑賞。時期的に『オーメン』(1976年、リチャード・ドナー)あたりのオカルト映画ブームに便乗して作られたと思しき1本。主人公はサハラ砂漠原子力発電所を建設しようと奮闘する社長(カーク・ダグラス)。原発工事の周辺で、次々不可解な事故が発生する、というお話で、DVDのパッケージには「原発ホラー」という穏やかではないコピーが。


 音楽は、我が最愛の映画音楽作家エンニオ・モリコーネ先生。サントラをすでに聴いていたこともあって、OPからすんなりと入り込むことが出来た。映画としてはお話が支離滅裂で何だかなあという感じだが、全編モリコーネ先生の音楽でぐいぐい引っ張っているような印象だった。モリコーネ先生が音楽を手掛けたホラー/サスペンス映画は、『スパズモ』『死んでいるのは誰?』『炎のいけにえ』等々、残念ながらこのパターンが多い。このジャンルでモリコーネ先生の先鋭的かつ甘美な音楽に拮抗出来る映像を提示していたのはやはり初期のダリオ・アルジェントくらいであろうか。


 さておき、モリコーネ先生の音楽、カーク・ダグラスの熱演、エロ味もあり、原発の塔が悪魔(ドラゴン?)に見える幻覚シーンの特撮、ゴア描写もきっちりあるし、反原発デモの不穏な雰囲気、等々盛りだくさんで、鑑賞後の印象はそんなに悪くなかった。

(『悪魔が最後にやって来る!』 HOLOCAUST 2000 監督/アルベルト・デ・マルチーノ 脚本/セルジオ・ドナティ、アルベルト・デ・マルチーノ、マイケル・ロブソン 撮影/エンリコ・メンチェール 音楽/エンニオ・モリコーネ 出演/カーク・ダグラス、サイモン・ウォード、アンソニー・クエイルアゴティーナ・ベリ、ヴァージニア・マッケンナ 1977年 102分 イタリア/イギリス)