ピーター・イエーツ監督の異色戦争映画『マーフィの戦い』(1971年)鑑賞。第二次大戦末期、ドイツ軍の潜水艦に撃沈されたイギリス船の生き残りマーフィ(ピーター・オトゥール)が単身復讐に挑む、というお話。マーフィが不時着した飛行機を修理し、潜水艦に攻撃を仕掛けるまではどこかユーモラスな雰囲気もありますが、後半はどんどん妄執の世界に突入していきます。ドイツ軍も非常に人間臭く描かれているので、終盤の展開でマーフィの狂気が際立ちます。幕切れはなかなか衝撃的でした。マーフィ演じるピーター・オトゥールの放つファナティックな存在感はさすがの説得力で素晴らしい。
脚本は『夜の大捜査線』『タワーリングインフェルノ』『キラーエリート』等のスターリング・シリファント。監督のピーター・イエーツは、刑事アクション(『ブリット』)、恋愛映画(『ジョンとメリー』)、青春映画(『ヤング・ゼネレーション』)、ファンタジー(『銀河伝説クルール』)、コメディ(『ホット・ロック』)、犯罪映画(『エディ・コイルの友人たち』)等々、オールジャンルで佳作を残した名匠。戦争映画においてもこの個性的な仕上がりで実に面白かった。
『マーフィの戦い』Murphy's War 1971年 イギリス
監督/ピーター・イェーツ 脚本/スターリング・シリファント 撮影/ダグラス・スローカム 音楽/ジョン・バリー
出演/ピーター・オトゥール、シアン・フィリップス、フィリップ・ノワレ、ホルスト・ヤンセン、ジョン・ハラム、インゴー・モーゲンドルフ