Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『彼を信じていた13日間』(黒沢清)

 Amazon Originalドラマ『モダンラブ・東京』、『彼を信じていた13日間』鑑賞。監督・脚本黒沢清。出演は永作博美ユースケ・サンタマリアの『ドッペルガンガー』コンビが再登板。ドラマの企画や予告編の感じからすると、どうも黒沢監督の起用は場違いにも思えます。黒澤監督がどのように「東京」の「モダン」な「ラブ」を描くのか・・・。         

 

 40分位の中編なので見始めるとあっという間。結果的に言うと、死と希望を語るいつもの黒沢作品でした。中年の男女のすれ違いを、ホラー的な意匠を要所に盛り込んで、まったく別の次元のお話に仕立て上げる手腕はさすが。鑑賞後の感触は、近年の作品、とりわけ『岸辺の旅』に近いものがありました。「ラブ」ではあったように思いますが、はたして「モダン」で「東京」ならではのお話だったかと言うとはなはだ疑問で、このドラマのターゲットが楽しめたのかどうかは怪しい。自分は監督の長年のファンなので大満足でした。あの川の禍々しいショットだけでもう・・・。