Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』(黒川幸則)

 黒川幸則監督『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』(2016年)鑑賞。菊川Strangerにて。昨年見た『にわのすなば』が面白かったので、旧作が劇場にかかったので見に行きました。21:10からのレイト枠。Strangerでは現在ドン・シーゲル特集をやっているので、ロビーでラロ・シフリン(お馴染みの『ダーティハリー』サントラ)が鳴り響いていて目眩がした。

 

 『にわのすなば』は面白い映画でしたが、個人的には若干の居心地悪さも感じていて、それは出演者の顔つきやお芝居、ロケーションに感じる自主映画臭さでした。今回は旧作ということもあり、悪しき淡々系演出だったらどうしようと若干不安を抱えつつ見始めました。予備知識は予告編くらいでキャストやお話は全く知らずに見ました。ツアー中に放り出されたバンドマン(田中淳一郎)が、迷い込んだ街の住人たちと過ごす不思議な日々を描いています。出演は鈴木卓爾、柴田千紘、佐伯美波、只石博紀、宮崎晋太朗、他。

 

 映画は飄々とした雰囲気で展開。散歩、喫煙、ノイズ、冷えたピザ、幽霊、飲酒が延々と繰り返されます。『にわのすなば』の散歩はもっとのんびりした感じでしたが、本作ではズンズン歩く。『にわのすなば』同様、登場人物が皆んな昼夜問わずめっちゃ飲んでました。俺もあの部屋に寝転んで飲みたいなと思いましたね。いや、ああいう部屋に寝転んで飲んでたことあるかもしれないなと思ったり。雑木林と水辺の切り取り方が独特だなあと思います。後半、オカルト的キャラで長宗我部陽子サンが登場して緊張感が走りました。高橋洋作品ではないのでおかしなことは起きませんでしたが。

 

 仕事明けの強張ったアタマを快く解きほぐしてくれました。週末までのエネルギーをチャージできたかな。見に行って良かった。