Fool in Trance

それはあった。それは二度とないだろう。思い出せ。

『The Secret Cinema』(ポール・バーテル)

 

 ポール・バーテル監督の初期短編『秘密の映画』The Secret Cinema(1968年)鑑賞。先に読んだ『E/Mブックス vol.9  60年代アメリカ映画』で紹介されていた作品で、友人の妙愛博士がYouTubeに上がってるよと教えてくれた。ありがたやー。

 

 私生活が映画(しかもコメディ)になっていて、皆に見られて笑われてたというパラノイア。上司との会話がシットコムになっていて笑い屋の声が聞こえたり、日常にオールド・ハリウッド調の音楽が延々と流れてたり、上映されている映画を自分だけ見ることができないとか、かなり意地が悪い。

 

 当時30歳?くらいのバーテル演出は、後の『フライパン殺人』等に連なるコメディ・タッチで素人臭さはほとんど無い。常にカメラが手放せない感じ、すべてが映画になるという強迫観念。そんな映画の自家中毒的内容と映像の手触りはデ・パルマの初期作品に良く似ていて、これは同時代性なのかな。